【勤務2週目】ムチャ振りの極み②
こんにちは。
香港のローカルマッサージサロンで週末セラピストをしているハナです。
日本人のお客様に、習ったこともないタイマッサージを施術することになった前回。
必死にタイマッサージを思い出しながら施術を始めた時の続きです。
正直、私は呆れていた。
店長のあまりにも無茶なムチャ振りに。
でも。
お客様は目の前にいらっしゃる。
そして。
お客様は日本人。
日本の方はマッサージをよく知っていらっしゃる方が多い。
もし。
私が一言日本語を話してしまったら。
施術中、習ってもいないマッサージを施術していることを隠し通さねばならない。
どぉする、ハナ。
さぁ、どぉする?!
私は、心の中で深く頭を下げながら。
ここは英語で通し、香港人になりきろうと心に決め、できることを精一杯、ただただ必死に施術しました。
チャイニーズマッサージの過程を一部手のひら圧を入れたり、軽いストレッチを加えて施術を進めていると。
お隣のお客様
「ね〜、このマッサージ師さん、めっちゃうまいよ〜。ホテルに呼びたいくらい。」
私の客様
「私のマッサージ師さんも上手だよ〜」
本当のところは、どう感じているのかわからない。
でも、まずは「このマッサージ師なんちゃってだよ」って言われなくてよかった。
少し安堵しつつ施術を進めていき、終盤に差し掛かり、次に何をしようか考えていたところ。
『あ。タイマッサージといえばストレッチポーズだ。でも、さすがに私には無理。。。』
タイマッサージのストレッチポーズは、多くの方が期待する施術に違いない。
しかし、それができないなんて。。。
どぉする、ハナ。
さぁ、どぉする?!
ふと。
隣のベッドを見ると。
知らぬ間に施術者が店長から見たことのないセラピストに代わっていて、お客様と「きゃきゃきゃ」っと楽しそうに、こなれた感じでストレッチポーズをしていらっしゃる。
『本物のタイマッサージ師が来てくれた!』
目の前に現れた救世主セラピスト。
私は迷わず、その救世主セラピストに私が担当しているお客様のストレッチポーズをお願いし、お客様にご説明のうえ、お部屋から失礼したのでした。
最後まで責任持って担当できなかったのは心苦しいけど。
救世主セラピストのおかげでお客様には何とか最後はタイマッサージを提供でき、お客様のお顔もにこやかな様子。
ホッとしつつお客様をお見送りし、私の日本語訛り英語の香港人ごっこも終了したのでした。
しかし。
問題は解決していない。
店長に、教えてもらっていないタイマッサージを施術するのはさすがに無理があると伝えたところ。
店長
「のび男ーーー。
ハナにタイマッサージの大きい動作(ストレッチポーズ)教えて。」
店長自らは教えてくれない様子。
まぁ、いい。
とりあえず、少しでも学ばなければ。
と、のび男君のあまり要領を得ないご指導を受けていたところ。
救世主セラピスト
「お客さんいない時には練習とは、真面目だねぇ。」
ちょっと大柄で大阪のおばちゃんを思わせる、いかにも豪快そうな年配の女性が施術室に入ってきた。
さっきは部屋が暗くて見えなかったが、どうやら救世主セラピストさんらしい。
『そうだ。救世主セラピストさんに教えを請おう!!』
私
「ねねね。さっきお客様にやっていたタイマッサージのストレッチポーズを教えてもらえないかな?!」
救世主セラピスト
「ああ。さっきやってたのはコレだよぉ。」
と。のび男君をモデルにストレッチポーズをご披露してくれたものの。
救世主セラピスト
「でもコレ。タイ式じゃないけどね。」
私
「え!?めちゃくちゃそれっぽくこなれた感じでやってたけど。」
私がタイマッサージのプロだと思っていた人は、実はチャイニーズマッサージのプロで、最近ストレッチ技を入れるとお客様に喜ばれるからよく施術に追加しているとのこと。
ちょっとストレッチ技を教えてくれたあとは、施術ベッドを占領し横になって携帯で電話を掛けだした、救世主セラピストさん。
救世主セラピスト
「暇な店なのぉ。ベッドで横になってないとやってらんないわよぉ。ガハハハ」
と豪快におしゃべりされていました。
結果的に初の日本人のお客様には、本当に申し訳ないことをしてしまいました。
けど。どうやら救世主セラピストさんの腕前はチャイナとタイの違いも超える技術だったようで、同じお客様から翌日もご指名で出張依頼が入ったのでした。
オーダー内容もセラピストの技術も構わず、ムチャ振りする店長。
そして。
オーダーと違う施術をしても、お客様を納得させてしまう腕前のセラピスト。
店長からムチャ振りの極みをくらい、しかしそれをなんなくやりこなすセラピストを目の当たりにし、香港マッサージ業界の闇の深さを垣間見た一日となりました。
後日。
そのかなり流れ者感ある救世主セラピストさん。
勤務2日目に、お客様に個人の連絡先を教え直接オーダーを取ろうとしたとのことで、店長から違反通告を出されお店を去っていきました。
技術があるってすばらしく、そして恐ろしい。
この時の私は一体どこまで続けられるのか、不安しかありませんでした。
続きは修行日記で綴っていきます♪
最後まで読んでいただき、
ありがとうございまっす